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2008年3月 8日 (土)

アクロマート小口径屈折望遠鏡

 屈折望遠鏡を最初に購入したとき、アクロマート対物レンズで口径が60ミリ前後、焦点距離が1000ミリ前後だった方って、今はかなり少数派なのでしょうか?私が天文に興味を持った小学生のときには(1960年代ですけど)、アクロマートレンズは「魔法のレンズ」のイメージがありました。3箇所に錫箔がはさんである対物レンズは、高級な望遠鏡のレンズだったのです。Raptor_2
1970年代になると、セミアポクロマートやアポクロマートという、更に高級な対物レンズが登場してきました。それでも、8センチクラスで焦点距離が1200ミリ、つまりF15クラスの望遠鏡が主流でした。以後、屈折望遠鏡ではアポクロマートレンズがデファクトスタンダードになり、F値も10から4程度まで短焦点化が進みました。天体写真もブームになり、写真専用(みたいな)鏡筒だらけになって来たのは、おそらく皆さんも御存じの事でしょう。国産の某有名望遠鏡メーカーも、眼視は二の次で、写真撮影に的を絞った(としか思われない構成の)鏡筒や赤道儀を多数発表。販売部数日本一と思われる某天文月刊誌も、「写真を取らなければ天文ファンに有らず、赤道儀でなければ望遠鏡に有らず」と言わんばかりの記事や広告のオンパレード(これは今でも同じか?)。
 この年齢になると冷静に考えられるのですが、昔は私もそれに踊らされていました。そのうちに、アクロマートレンズの屈折望遠鏡は多くが入門用に成り下がり、雑誌の広告でも見かけなくなってしまいました。60ミリのアクロマート屈折望遠鏡は、せいぜい経緯台で手抜きの輸入品がほとんどになって来たと思います。私もすっかり「魅力が無い望遠鏡」だと思っていた「アクロマート対物レンズの望遠鏡」を見直したのは、ごく最近でした。
 ここ10数年、私の興味は眼視観望になってきました。写真も面白かったのですが、CCDの普及に連れて、もうサラリーマンの趣味とは言えない「高額商品購入能力誇示」&「画像処理ソフト利用能力検定試験」的様相になって来たからです。で、大口径での眼視観望に転向しました。ところが、これもまた大変でした。「天文のマーフィーの法則」としては有名な(?)「時間が有る時は機材がなくて、機材が有る時には時間が無い」というジレンマに陥ったのです。大口径の能力をフルに活かせるような場所は遠く、天候と仕事の都合を考えると、年に1、2回遠征出来れば良い方。仕方が無いので、光害のまっただ中の自宅から、アポクロマート屈折や双眼鏡で星団や星雲観望をするはめになりました。最初は「ちっぽけな見え方。あ〜あ、遠征に行きたいなあ」としか思えなかったのですが、次第に「へ〜、ここまで見えるんだ」という新鮮な驚きに変わって来たのです。勿論、アポクロマートの性能によるもの多かったのですが、「ありふれた星団や月面をじっくり見る」という事を忘れていたからでしょうね。で、小口径望遠鏡も捨てたもんじゃないと感じた訳です。
 そんな時、じゃあちょっと試しに・・と購入したのがコルキットのスピカ。口径40ミリ、倍率35倍の自作キット。これで月面を覗いてびっくりです。良く見えるじゃないですか!口径相応ですが、アクロマートの40ミリでも月面観望が楽しめる事が分りました。次ぎに入手したのが、ラプトル50です。50ミリのアクロマートですが、これまた星像が見事。無理のない設計できちんと製作されたアクロマートなら、非常に良く見えるという事実に気がつきました。そりゃあアポクロマートが良く見えるのは当たり前ですが、月や惑星を眼視観望で楽しむにはアクロマート(良質のですよ)でも十分なんですね。雑誌の広告やメーカーの宣伝文句を見てしまうと「天文を始めるには高価な望遠鏡が必要」だと思いがちですが、そんな事はありません。2500円のスピカでも、7980円のラプトルでも、十分に楽しめます。

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コメント

皆さん,こんにちは, atoyanです.

ハットリさんも愛用されているラプトル望遠鏡ですが,自分も,購入し,伊東の両親の家に置かせてもらって,出かけるたびにお気楽な観望をしています.

レンズの性能がいいといううわさを聞いて,自分も手に入れたわけですが,その高性能ぶりに満足しています.

付属のアイピースも見かけは安っぽいものの,なかなかの性能ですが,優れた対物レンズの性能を活かすべく,谷光学のケルナー25mmとオルソ12.5mmも購入し,現在は,主にこの組み合わせで,×24と×48の観望を楽しんでいる次第です.

これでも,土星の輪など,実にシャープに見え,国産優良品の性能の良さを実感します.

先日も,四歳になる,ウチの娘に土星を覗かせたところ,お耳のあるお星様に気がついたみたいで,また覗かせて欲しいといっています.

大昔,ミザール製のニューコロナ型入門用の経緯台が,あの当時で \ 3,000 したことを考えると,ラプトルのコストパフォーマンスの高さは驚くべきものがあります.

入門者にも,ハイアマチュアにもお勧めできる一品であることは,間違いありません.

ところで,対物レンズの性能の良さを昼間も味わえることを期待して,ビクセン製の地上用正立レンズを組み合わせて覗いたところ,多少視野はけられるものの,シャープな像を楽しめることも分かりました.

これは,少し邪道的な使い方かも知れませんが,望遠鏡を使う楽しみがまたひとつ増えとということで,報告させていただきます.

投稿: atoyan | 2008年3月10日 (月) 07時39分

atoyanさん、こんにちは。
ラプトル、確かに良く見えます。最新のラプトルは改良がなされ、三脚に開き止めが付いて振動がかなり減ったみたいですね。アイピースを金属製のケルナーやオルソにすると、この望遠鏡の真価が発揮できるので、購入された方には、是非、スコープタウンあたりからでも日本製のケルナー、オルソを購入することをお勧めします。忙しい方が気楽な月面観望をするにはぴったりです。1,2分で観望から撤収まで出来ますしね。

投稿: ハットリ | 2008年3月10日 (月) 09時05分

ハットリさん,こんにちは,atoyan です.

話題のラプトル望遠鏡,小学生低学年の子どもには,覗くのにちょうどよい高さですが,大人には,ちょっと低すぎます.

もう少し高かったならなぁ,と思っていたら,友人が,ラプトル専用の特製の脚の長い三脚を譲ってくれました.

早速,付け替えたところ,使いやすさが up しました.

地上の風景を眺めるのも,楽になり,嬉しい限りです.

ただ,まだチビ助のうちの子どもには,覗くのが,ちょっと厳しいみたいです.

投稿: atoyan | 2008年4月 3日 (木) 11時01分

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